”チャットボット”とは、人工知能を活用した自動会話システムのことです。その形態は、選択肢を選ぶことで解決に繋がる「シナリオ型」と、自然言語処理を行い自由な会話から解決に繋がる「自由会話型」の2つに分けることができます(混在しているモデルもあります)。

とはいえ自然言語処理のレベルはまだまだ実用段階ではないため、自由会話のものはLINEの「りんな」のように、特に目的のないものが多く、何か目的のある自由会話形式のものにおいては、人工知能は「表記ゆれを吸収できる」程度のものが多いようです(「クリスマス」と「Xmas」と「X’mas」と「くりすます」を同じものとして処理できる、のような)。

りんなとの会話、成り立っているように感じられる

りんなとの会話、成り立っているように感じられる

今後自然言語処理の発達に伴いチャットボットもさらなる発展が期待されていますが、すでに活用されているシナリオ型でも、人材採用の分野で活用事例があります。

チャットボットに自動化される様々なプロセス

チャットボットの優位性として、UIがほかのものよりも格段に優れている、という点が挙げられます。例えば運送会社のヤマトが、LINEで不在届や再配達のやり取りをスタートしましたが、不在届や再配達の機能自体は以前から存在していたわけです。再配達は、電話でも、ウェブでも、依頼することができました。しかし、LINEやFacebookメッセンジャーなど、誰もが気軽にアクセスできるアプリを使うことで、面倒くささを劇的に下げることに成功しています。

「再配達は日時の再指定だから簡単にできるんだ、複雑なものは無理」

と考えるかもしれません。しかし、もっと踏み込んだサービスが多数存在しているのです。

habitoというサービスでは、ユーザーの財務状況を照会し、給与、個人生活および雇用に関する質問をチャットボットが行い、その情報をもとに最適と思われる住宅ローンの提案をしてくれます。住宅ローンのように、複雑で判断が難しく、選択肢が多数あるような領域においては、人間よりむしろ人工知能のほうがより良い提案をしてくれる可能性が十分にあります。

また、診察の初期ヒアリングをチャットボットが行い、適切な医師を紹介してくれるbabylonというサービスがあります。これはシナリオ型ではなく、自由会話型の形式になっています。紹介された医師とは、同じアプリ内でそのまま遠隔診断が開始できるのも素晴らしい点です。

調査会社のGartnerによると、2020年までに、企業と顧客の対話の85%はチャットボットなど人工知能に置き換えられると予測されており、それはもちろん人材採用の分野にも影響を与えていくことになります。

人材採用の分野で活躍するチャットボット、人工知能

Firstjobは、大学卒業前後の学生、第二新卒向けサービスです。ログインして履歴書を登録すると、応募者はボットと会話し、自分のバックグラウンド、価値観について伝え、適切な仕事情報を受け取ります。Fortune 500社を含む700社以上が利用し、すでに3万人の求職者が登録していると言います。今まで仕事情報を探すときは、場所や職種、年収などの条件面でしか探せませんでした。しかし、チャットボットを通じて求職者のバックグラウンドや価値観をヒアリングすることで、非常に複雑な条件のレコメンドが実現できるようになってきたのです。

しかしこれらは、人の仕事を奪う動きではありません。求職者、求人企業の双方から、「初期のフィルタリング」という、無駄で不快な作業を取り払い、より本質的な時間の使い方を促しているにすぎないからです。

面接のセッティングもAIが行う?

AIを搭載したパーソナルアシスタント、Amyをご存知でしょうか?Amyは、スケジュール管理をはじめ秘書のようなサポートをしてくれるAIです。Twosense社のCEOは、30件以上の採用面接を終えた後、「Amyなしだったらこのスケジュールは悪夢だった!」とツイートしています。CEOによる30件もの採用面接さえこなすパーソナルアシスタント、末恐ろしいものです。

適切な人材を履歴書の山から瞬時に見つける

山のように積もった履歴書から、自社が必要としている人材を見つけるのが大変…。そんな苦労を解決してくれるのがTextkernelです。Textkernelはsemantic technologyという技術を用いることで、履歴書の文章を読み込み、単語の背景にある文脈や意図を理解、自社が必要としている人材を瞬時にピックアップしてくれます。

TalentBinも面白いサービスです。100以上のSNSやウェブサイトから、優秀かつ自社にあった人材をピックアップ。データを分析して適切な内容、日時でフォローアップすることで、自社に効率的に興味を持ってもらうことができます。

求人票の書き方をAIが指導

求人票の書き方次第で、応募者の反応に違いが出ることもあるでしょう。良い求人情報を書くために、機械学習を用いたサービスが提供されています。アメリカではtextio、日本ではFindyScoreというサービスがあります。どちらも求人票を得点化してくれるのが面白いですね。textioは、MicrosoftやCisco、Expedia、Bloombergなど、大手企業の導入実績があるようです。